CLAUDE CODE / ONBOARDING GUIDE

ディレクトリ構造から理解する
Claude Code の使いこなし方

「フォルダの整理」が、そのままAIの仕事の質になる。チャット型AIとの決定的な違いから、資料の置き方、そしてAI自身の設定を置く .claude/ の全体像まで。プログラミング未経験でも読み切れるように噛み砕いた入門ガイド。

非エンジニア向け 前提知識ゼロ 全7章 2026.08.07
WHAT IS IT
= フォルダ
ディレクトリは専門用語ではない。普段使っているフォルダと同じもの
WHY IT MATTERS
3つの理由
検索性 / 集中力の節約 / 成果の複利。構造が精度を決める
HOW TO BUILD
5つの型
番号・対象で切る・材料と成果物の分離・3階層・命名
.CLAUDE DIRECTORY
5要素
CLAUDE.md / settings.json / commands / skills / agents
01
DEFINITION

そもそも「ディレクトリ」とは何か

結論から言うと、ディレクトリ=フォルダ。それ以上でも以下でもない。エンジニアがそう呼んでいるだけで、中身は普段使っているものと1ミリも違わない。

ふだん見ているもの フォルダ Googleドライブ エンジニアの呼び方 ディレクトリ 同じもの

呼び方が違うだけ。ここでつまずく必要はまったくない。

「入れ子」になっているのがディレクトリ構造

Obsidian Vault いちばん外側のフォルダ 00_context 08_Works その中のフォルダ 01_N1 02_Uca さらにその中 output

箱の中に箱がある。この入れ子の形が「ディレクトリ構造」。

POINT

この章で覚えることは1つだけ

フォルダの中にフォルダがあり、その中にファイルがある。
このあと出てくる話は、すべてこの「入れ子」をどう設計するかという話にすぎない。

技術的な理解は不要。整理整頓の話だと思ってよい。

02
THE DIFFERENCE

チャット版Claudeとの決定的な違い

ここが本質。いちばん腹落ちしにくいポイントなので、対比で押さえる。

CHAT / claude.ai 打ち合わせに来た外部コンサル AI 手渡した資料だけ 見えない 毎回手ぶら/終われば資料も記憶も残らない/次回また最初から説明 CLAUDE CODE オフィスに常駐しているスタッフ AI 自分で開けて読む 正しい場所にしまう ディレクトリ 自分で探しに行く/成果物が残る/次回もそのまま使える
Claude Codeを起動するというのは、「このフォルダをあなたの作業場にしていい」と鍵を渡す行為である。 渡した鍵の範囲=AIが見える世界そのもの。だから「どこで起動するか」「そこがどう整理されているか」が、そのまま仕事の質になる。これはチャット版になかった新しい変数。
観点チャット版ClaudeClaude Code
ファイルの参照手渡ししたものだけフォルダ内を自分で探索
成果物の行き先画面に出て、流れて消える指定した場所にファイルとして残る
前提の共有毎回、口頭で説明し直すCLAUDE.md を自動で読む
作業の積み上がり1回ごとに切れる前回の成果が次回の材料になる
準備の手間ゼロ。すぐ使える最初にフォルダ設計が要る

Claude Codeは万能ではなく「初期投資が要る代わりに資産が残る」という性質。だから構造の話が最初に来る。

03
WHY IT MATTERS

なぜディレクトリ構造の設計が重要なのか

理由は3つ。どれも「AIの性能を上げる」ではなく「AIの足を引っ張らない」ための話。

理由① / AIは「全部を最初から知っている」わけではない

ラベルが貼ってある 01_N1 02_Uca Kawaru output context 1回で到達 開ける引き出し:1 ラベルがない 資料1 新規 aaa 最終 コピー tmp 名称未設定フォルダ 総当たり 開ける引き出し:全部

Claudeは全部を暗記しているのではなく、依頼を受けてから当たりをつけて必要な場所だけ読む。

MISUNDERSTANDING

よくある誤解:「渡したら全部読んでくれている」

違う。人間の新人スタッフと同じで、頼まれてから「これが必要そうだ」と推測して探しに行く。ラベルが読めなければ、外れた資料を掴む。

EFFECT

整理は、そのまま検索性能になる

整理されていれば一発で当たる。散らかっていれば、AIは的外れな資料を根拠に、それらしい嘘を書く。ハルシネーションの多くは構造の問題でもある。

理由② / AIには「一度に読める量」の上限がある

「コンテキスト」=一度に頭に入れられる情報量。会議室のホワイトボードだと思えばよい。有限で、埋まれば書けなくなる。

整理されたフォルダ 探索 20% 本来の作業に使える 80% 良好 散らかったフォルダ 無関係なファイルの読み込みで消費 75% 残り 25% 息切れ

構造がぐちゃぐちゃだと、探すだけでホワイトボードが埋まる。長い作業が途中で息切れし、精度も落ちる。整理はAIの集中力を無駄遣いさせないための投資。

理由③ / 成果が「積み上がる」か「流れて消える」かが決まる

チャット型:毎回ゼロから 1回目 2回目 3回目 成果は流れて消える Claude Code:材料が増えていく 議事録① 議事録② ①を参照 議事録③ ①②を参照 3ヶ月の論点の変遷 過去すべてが材料 COMPOUND EFFECT 使うほど賢くなるのではない 使うほど「材料」が増える その材料が置かれる棚が、ディレクトリ。 棚がなければ、複利は始まらない。
04
HOW TO BUILD

では、どう構造を作ればいいのか

大原則:「AIが探しやすいか」ではなく「他人が探せるか」で考える。 新入社員がフォルダ名だけを見て、中身を開かずに目的地にたどり着けるか。これが通ればAIも通る。逆も同じ。

設計の型(5つ)

TYPE 01

番号を振って、並び順を自分で決める

strategy context works finance 00_context 01_strategy 02_finance 08_Works

放っておくと五十音順・アルファベット順に並ぶ。頭に番号を振れば「使う順・重要な順」に自分で並べ替えられる。

TYPE 02

「動詞」ではなく「対象」で切る

状態で切る → 崩れる 作成中 確認する やること 対象で切る → 崩れない 01_N1 02_Uca 03_案件C

「何をするか」で切ると、作業が終わった瞬間に置き場所を失う。「何についてか」で切れば何年経っても崩れない。

TYPE 03

「材料」と「成果物」を分ける

材料 transcripts AI 成果物 output 混ぜると自己参照で劣化

混ぜると、AIが「どれが元ネタで、どれが自分の出力か」を判別できず、自分の出力を材料に再利用する。伝言ゲームと同じ劣化が起きる。

TYPE 04

深さは3階層まで

08_Works 01_N1 kawaru 4階層目 — 人が忘れる OK

4階層を超えると人間が場所を忘れる。人間が忘れるものはAIも探せない。深く掘るより、上の階層を増やすほうが健全。

TYPE 05

ファイル名に日付と中身を入れる

メモ.md / 資料final_v2_修正.md 検索が効かない → AIが「無い」と判断する 20260807_N1定例_議事録.md 日付・対象・種別の3点で一発ヒット

Claudeはファイル名を手がかりに検索する。ファイル名は、AIに対する最も安いヒント。

CHECK

迷ったときの判定基準

この2問に「はい」と答えられれば、その構造は正しい。

Q1. 名前だけ見て中身が想像できるか

Q2. 半年後の自分が同じ場所に置くか

05
.CLAUDE DIRECTORY

もうひとつのディレクトリ ——「.claude/」

CHAPTER 01-04 仕事の資料を、どう置くか CHAPTER 05 AI自身の設定を、どう置くか

Claude Codeを使うフォルダには .claude という特別なフォルダを作れる。ここがClaudeの「就業規則」「業務マニュアル」「人事」の置き場になる。
補足:頭に「.」がつくフォルダはPC上で標準では非表示になる。「見えないけれど確かにある」だけで、特別に難しいものではない。

全体像

project/ ├── CLAUDE.md ← セッション開始時に読まれる全体ルール ├── CLAUDE.local.md ← 個人設定(チーム共有しない) └── .claude/ ├── settings.json ← ツール権限のallow/deny ├── commands/ ← 明示的に呼ぶカスタムコマンド ├── skills/ ← 自律発動するワークフロー └── agents/ ← 専門分業のエージェント
OFFICE METAPHOR CLAUDE.md 壁に貼ってある業務マニュアル 出社したら必ず目に入る settings.json 入館証 どの部屋に入っていいか/何を勝手にやっていいか commands/ 内線番号 自分で番号を押して呼ぶ skills/ 担当者 話を聞いて自分から立ち上がる agents/ 専門チーム 調査班・分析班・レビュー班が同時に動く

CLAUDE.md / 毎回、自動で読まれるルール

Vault 直下 全体の共通ルール(常に適用) CLAUDE.md 口調・出力形式・禁止事項・保存先ルール 08_Works/01_N1/CLAUDE.md この案件のときだけ、上のルールに追加で適用

本社の就業規則と、支店独自のルールの関係と同じ。第4章で作った構造が、ここでそのまま効いてくる。

AUTO-LOAD

言わなくても守られる

セッションを始めた瞬間に自動で読み込まれる。「毎回同じ指示を書いている」と気づいたら、それはCLAUDE.mdに移すサイン。

LOCAL

CLAUDE.local.md / 自分だけの設定

同じ仕組みの個人版。チームに共有したくない設定を書く場所。settings.json にも同様に settings.local.json がある。

CAUTION

何でも書き込むと、全部が薄まる

長くなるほど1行あたりの効きは落ちる。守ってほしいルールほど短く。まずは5行から。

commands/ と skills/ の違い / 最も混乱するポイント

見た目が似ているので必ず質問が出る。違いは「誰が起動するか」の1点だけ。

COMMANDS 自分が呼ぶ 自分 /議事録 実行される 内線番号を押すのと同じ 確実に発動させたいとき/呼び出し名を覚えられるとき SKILLS Claudeが自分で判断して動く 自分 昨日の会議まとめて スキルが 自ら立ち上がる 普段どおり喋るだけで動く/呼び出し方を覚えなくていい

迷ったら skills/ から作るのがおすすめ。呼び出し名を覚える必要がなく、自然な会話のまま動くため。

agents/ / 役割を分けて同時に走らせる

依頼 市場を調べる担当 数字を分析する担当 批判的にツッコむ担当 統合 WHY IT WORKS 1人で考えるより、視点が増える 最初から手を出す必要はない。 CLAUDE.md → skills/ に慣れてからで十分。

なぜ最初に全体像を押さえるのか

BENEFIT 01

どこを編集するか迷わなくなる

症状から編集場所が即決まる。

「口調を変えたい」→ CLAUDE.md
「毎回聞かれて面倒」→ settings.json
「同じ手順を繰り返す」→ skills/

BENEFIT 02

設定ミスを早い段階で防げる

権限とルールが1箇所にまとまっていれば、「なぜこう動いたのか」を後から追える。原因が特定できない状態が、いちばん時間を溶かす。

BENEFIT 03

後からの改善が差分更新で済む

役割ごとにファイルが分かれているので、全部を作り直さず、効いていない1行だけを直せる。改善のコストが下がる。

全部を最初から作る必要はない。「どこに何があるか」だけ知っていれば、必要になったときに1つずつ足していける。

06
ANTI-PATTERNS

よくある失敗パターン

どれも「AIが悪い」ように見えて、実際は構造の問題。深刻度の高い順に並べた。

FAIL 01

デスクトップやダウンロードフォルダで作業する

AIの視界に無関係なファイルが数千件入る。探索が遅く、精度も落ちる。

深刻度
FAIL 02

材料と成果物が混在している

AIが自分の出力を元ネタと誤認し、内容が劣化しながら自己増殖する。気づきにくいのが最も危険。

深刻度
FAIL 03

1つのフォルダに全部入れる

「議事録どこ?」に対してAIが総当たりする。時間とコンテキストの浪費。

深刻度
FAIL 04

命名がバラバラ

検索が効かない。AIが「該当ファイルは無い」と判断し、既存資料を無視して勝手に作り始める。

深刻度
FAIL 05

CLAUDE.md に何でも書き込む

長すぎて全部が薄まる。守ってほしいルールほど短く、が原則。

深刻度
FAIL 06

フォルダを細かく切りすぎる/agents から作り始める

前者はどこに置いたか人間が忘れる。後者は効果を実感できず挫折する。まずはCLAUDE.mdから。

深刻度
07
FIRST STEPS

最初の一歩(この順番でいい)

いきなり完璧な構造を作る必要はない。フェーズ1で資料の置き場を決め、フェーズ2でAIの設定を足していく。

着手ロードマップ

上から順に。1つずつでいい。

PHASE 1 / 資料の置き場を決める
1
作業フォルダを1つ決める
デスクトップではない、独立した場所を用意する
2
そこでClaude Codeを起動
起動した場所が、そのままAIの視界になる
3
大分類を5〜8個だけ作る
会社/事業/テーマ単位。ここで細分化しない
4
材料と成果物を分ける
最初から守っておくと、後がいちばんラクになる
PHASE 2 / AIの設定を足していく
5
CLAUDE.md を5行だけ書く
守ってほしいルールを厳選する。長く書かない
6
繰り返す作業を skills/ へ
毎回同じ説明をしていると気づいたタイミングで切り出す
7
settings.json で確認を減らす
確認プロンプトが煩わしくなってからで十分
8
agents/ で分業させる
ここは急がなくていい。慣れてから

全体の流れ

1フォルダを決める
2大分類を切る
3材料と成果物を分ける
4CLAUDE.mdを置く
5skillsに切り出す
6使いながら育てる
構造は最初に設計しきるものではなく、使いながら育てるものただし「材料と成果物を分ける」「深くしすぎない」の2つだけは、最初から守ったほうが後がラク。
CONCLUSION

チャット版は「毎回説明する」、Claude Codeは「一度整理すれば、そこが資産になる」。

資料のディレクトリはAIに渡すオフィスの間取り図
.claude/ はそのオフィスの就業規則と人事である。